次元堂

思い込みで数学してます

オープンウォータースイミングと統計 第三話

「ひめじ家島OWS」は瀬戸内海の播磨灘に浮かぶ家島群島で行われます。
家島群島の中の男鹿島と家島の間の海3.2kmをワンウェイで泳ぐ大会です。
2017年の男子3.2kmは300人がゴールすることができました。
この300人のゴールタイムを統計処理して、その後ろに隠れているドラマを探し出します。

レースが終わると、次の楽しみは成績を眺めることになります。
自分の順位やゴールタイムを眺めて、反省したり、次回の目標設定をしたりします。
「何分でゴールできれば順位は何位ぐらいになる」と何度も何度も繰り返し見てしまいます。

その時も順位を眺めていたのですが、気づいてしまいました。
「59分台でゴールしたひとがいない」と。

今回のブログのテーマはこの発見から始まりました。
「母数が大きければ滑らかな分布になる」という私の中での常識に刺さるものは何なのかを見てみたい!!

総合データを一分間間隔のゴールタイムでヒストグラムにしてみました。

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1分間隔ヒストグラム

59分台でゴールしたひとは40~49歳(母数100)および50~59歳(母数77)にはいませんでした。
60歳~(母数48)に2人、高校生~39歳(母数75)に1人の計3人しかいなかったのです。
その前後の58分台と60分台にはそれぞれ13人、12人となっているので明らかに少ないと考えられます。

ただ、この数字、泳いでる私から見ればあまり違和感がありません。
私は大会に臨むにあたって目標を設定します。
その目標を達成できるよう日々練習をします。

ありそうな目標を列挙します。
1.  完泳
2.  1時間20分台
3.  1時間10分台
4.  1時間10分を切る
5.  1時間5分台
6.  1時間4分を切る
7.  1時間0分台
8.  1時間を切る
9.  55分台
10.  50分台
 
私の今回2019年大会の目標は「8. 1時間を切る」です。
そのために以下の練習メニューに取り組んでいます。

1. 1.6km ⇒ ~29分
2. 休憩   ⇒ 30秒
3. 3.2km ⇒ ~59分

1時間を切る目標であれば、「3.2km ⇒ ~60分」のメニューでいいと思われるかもしれません。
しかし海では何が起きるかわかりません。
1分程度のマージンは最低でも必要と泳いでる者は考えるものです。

このような目をもってヒストグラムを眺めてみましょう。

・ヒスグラム A ; 4. 1時間10分を切る
 ⇒このタイムを目標とする人は1時間9分以内でゴールできるように練習している。

・ヒスグラム B ; 6.  1時間4分を切る
 ⇒このタイムを目標とする人は25mを30秒で泳ぎ続ける練習をしていると思われる。

・ヒスグラム C ; 8.  1時間を切る
 ⇒59分がないのはAと同じ理由である。このタイムを切ることはゴルフで100を切ることと似た感覚がある。

・ヒスグラム D ; 10.  50分台
 ⇒趣味で泳いでる者の憧れのタイム。50分台でゴールできそうだと思えば、ラストがむしゃらに泳ぐ。


ヒストグラム凸凹の中に、選手ひとりひとりの日々の取り組みが目に浮かびませんか?
達成感や悔しささが見えませんか?

OWSは個人競技です。
しかし、このヒストグラムを眺めると共に泳いだ者たちとの一体感を感じることができます。

つづく