次元堂

思い込みで数学してます

オープンウォータースイミングと統計 第四話

「ひめじ家島OWS」は瀬戸内海の播磨灘に浮かぶ家島群島で行われます。
家島群島の中の男鹿島と家島の間の海3.2kmをワンウェイで泳ぐ大会です。
2017年の男子3.2kmは300人がゴールすることができました。
この300人のゴールタイムを統計処理して、その後ろに隠れているドラマを探し出します。

総合のゴールタイムはどのような分布なのでしょうか?
色々な分布関数はありますが、ここではワイブルプロットを試みてみることにしました。
ワイブル分布の詳しい内容は他の文献を参照ください。
ワイブル分布は、寿命解析等に利用されています。
式としては次式の形になります。
Y=m・X-m・ln(η)
ワイブル係数 m の値によって分布の性質が変化ます。
m = 1 は指数分布、m = 2 はレイリー分布になります。
つまり、mの値によって様々な分布にすることができるという関数なのです。

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ワイブルに限界値t0を設定
ゴールタイムを寿命と考えてプロットしてみました。
寿命というのは0時間から寿命が尽きる確率が存在します。
オレンジ色のプロットはゴールタイムをそのまま寿命としてプロットしています。
プロット結果を見ると直線になっていません。
理由は何かというと、ゴールタイムは0には絶対にならないことから来ています。
そこで直線になるようにゴールタイムを適当にシフトしてみました。
シフト量t0を1900秒(0:31:40)としたとき、直線フィット度R^2が最も1に近づいたので、採用してプロットしたのが青です。

このt0は一体何を表しているのでしょうか?
「ゴールタイムは0には絶対にならない」、ではその限界値がt0なのでしょうか?

私は、t0は限界値であると考えています。
但し、この限界値は今回のゴールタイム分布におけるものです。
別な大会においてもこの値を超えることはできないとは考えていません。
t0=1900秒は2017年の男子3.2km全体のゴールタイムを表す指標であると考えています。

次の大会ではみんなでt0を更新できればいいと思っています。


次回は終話、2019大会の紹介をします。(統計は出てきません)